株式会社 ZEN
徳島発のSNSマーケティング企業として注目を集める『株式会社ZEN』。2024年の設立ながら、すでに県内でも高い存在感を放つ新進気鋭の企業だ。同社が運営するSNSアカウント「徳島グルメ」は、総フォロワー数約7万8,000人を誇り、地域メディアとして強い影響力を持っている。
事業の主軸は、企業のSNS運用代行。単なる投稿の代行にとどまらず、企画立案から撮影、編集、分析までを一貫して担い、クライアントの売上や認知向上に直結する成果を生み出している。

代表の大谷社長は「SNSは一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションが重要」と話す。SNSは発信するだけでなく、ユーザーとのやり取りを通じて価値を高めていくものだという。実際に手がけた農業事業者の案件では、同社による発信に加え、クライアント自身がコメント一つひとつに丁寧に向き合うことで相乗効果が生まれ、EC売上が約20倍に成長した実績もある。「自分たちが土台をつくり、クライアントの想いが乗ることで成果が生まれる」という“共につくり上げる”姿勢が結果を生んでいる。
専門的な知識や魅力を、一般のユーザーに“伝わる形に翻訳する”。その役割こそが、同社の提供する価値であり、地方に眠る可能性を広く届ける原動力となっている。
若さを武器に、自分の土俵で勝負する経営
27歳で経営の第一線に立つ大谷社長は、「若くして経営する難しさはあまり感じていない」と語る。その理由は、自らの強みを理解し、“勝てる領域”で勝負している点にある。SNSは自分たちの世代が最も理解している分野であり、上の世代と同じ土俵で戦うのではなく、自分たちの強みが活きる領域で価値を発揮していくことが重要だと捉えている。
一方で、事業の立ち上げ当初は苦労もあった。2020年からSNS運用を続けるなかで、徳島においてSNS活用の文化が根付いておらず、軌道に乗るまでに3〜4年を要したという。それでも地道な発信を続けることで、今では地域を代表するメディアへと成長を遂げた。
組織づくりにおいて重視しているのは「価値を届ける意識」と「成長意欲」だ。単に動画を制作するのではなく、その先にある売上や採用といった成果まで見据えて行動できる人材を求めている。
また、年齢や経験に関係なく実力で評価する仕組みを取り入れ、若手が中心となって活躍できる環境を整えている。かつて自身が経験した「頑張っても評価されない環境」への違和感が、現在の組織づくりの原点にある。だからこそ同社では、個々の挑戦や成果が正当に評価される環境づくりを大切にしている。
AIとSNSで描く、地方からの新たな価値創出
同社が見据える次のステージは、“地方×SNS×AI”による新たな価値創出だ。
現在力を入れているのが、SNSを活用した採用支援。地方では人材不足が深刻化する一方で、SNSを通じて県外からの関心を集めることができるという。実際に同社には年間約100件の応募があり、そのうち約2割は県外からの問い合わせだった。SNSによって「地元で働く」という選択肢を可視化できることが、大きな可能性を持っている。また、この実績をもとに、企業の魅力を発信する採用特化メディアの展開も進めている。

さらに大谷社長が強い関心を寄せるのがAIの活用だ。SNS運用におけるリサーチや企画、分析といった工程を自動化し、人がよりクリエイティブな領域に集中できる環境を構築しようとしている。「人が人らしく働ける環境をつくりたい」。社名の由来でもある“禅”の思想のもと、余白を大切にしながら本質的な価値に向き合う。その考えは、AI活用による働き方の進化にもつながっている。

地元・徳島に軸足を置きながら、全国、そして未来へと視野を広げる大谷社長。SNSとAIという最先端の武器を手に、地方の可能性を切り拓くその挑戦は、これからの時代における新しい経営の在り方を示している。